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専業トレーダー DaTsU

しっかりと方針を立てる

目先ばたばたと動いて結局儲からないとうことは良くあることです。「相場
は相場に聞け」という言葉があるように、相場は「動くべくして動いているも
ので上がれば下がり、下がれば上がる」ものなのです。目先の動きも大切です
が大きな流れを掴み、しっかりと方針を立てて相場に臨みたいものです。


 一日の相場を考え商い致すは、宜しからず。三位の伝を以って高下を考え、
上げ下げ二つの内、何程より上げ、何程まで下げ、何程にて止まる、その節上
方相場この方作合いを考え、終始は如何と丹念致し、例えば買いに付く時はこ
の間の狂い高下にかかわらず、立羽を極め、しっかりと買い出すべきなり。思
い入れ当たり、引き上がる時は勘定の通り取り留むるものなり。しかるを、安
きところにては買い心掛け、高きところにて売りと心掛けるは金高にばかりな
り、手取り不足なるものなり。上がると見込む時は米の一体を考え、片買いと
心得べし。その節弱く相見え、売り過ごすこと易きものなり。はなはだ宜しか
らざるなり。是非引き下げ候と存じ候ても、売らず、休むべし。天井行き付け
値段の後、売り方に赴くも、同じ心持ちなり。

 一日の相場で取ろうと(デイトレード)売買するのは良くないことです。
「三位の伝」を良く考えて相場の高安を考え、上昇下降二つのうちどちらなの
かどれくらい上げるのか、どのくらい下がったら下げ止まるのか、そのとき上
方の相場や米の出来具合を考えてどのタイミングで始まり、どのタイミングで
終わるのかと丹念に見極め、例えば買いに出るのであればそうやって考えてい
るうちの乱高下に惑わされず、自分の立場を見極め、しっかりとその考えたタ
イミングで買い出すべきなのです。思惑が当たり、相場が上昇してきたときは
最初の思惑通り利益を確定するべきです。闇雲に安いからと買いと思って、高
いからと売り場と思うのは売買金額ばかりかかって儲けが少ないのです。上が
ると思うときは相場の方向性を考え、買いだけと心得るべきです。買っていた
ものを利益を確保して売った時には相場が弱く見えて、手仕舞い以上に売って
おくと簡単に取れるように思うのですがとてもよくないことです。ここからは
必ず下がると思っても売らないで休むべきなのです。天井をつけたことを確認
した後に売った場合にも同じことが言えます。

 今はやりの「デイトレード」を否定するかのような言葉ですが、要するに
「目先の綾」に惑わされることなく、最初から、「いくらの金額で」「期間は
どのくらいで」「上昇(あるいは下落)をどこまで見込んで」いるのか、また、
自分の思惑と反対になったときの対処のしかたはどうなるのか、ということを
しっかりと方針を立てて相場に臨みなさいということなのです。いわば目先の
綾をとるような「デイトレード」はそれはそれでやり方があるのですが、そう
いったやり方を習得していない人はまず、方針を立て、それを実行することか
ら始めましょう、ということなのです。闇雲に売り買いを繰り返しても損が嵩
むばかりで利益は見込めるべくもありません。そういったことのないように
「三位の伝」(この場合は)つまり、外部環境や現状の株価の置かれている位
置、相場のセンチメントや企業業績、あるいは金利や為替などの見通しを考え
ながらじっくりと方針を立て、投資に臨むことが大切なのです。


 商い致す節、何ほどの金高に売買致すべしと分限に応じ、相定め申すべきこ
となり。たとえば買い方ならば、まず少々計り仕掛け、右の買い米、少々たり
とも利分付き候わば、段々買い入れ、最初心掛けし金高買い重ねる故、手違い
になるものなり。引き上がる時は、最初積りの金高、確かに取り留むるべしと
工夫すること第一なり。売り方も右同断のこと。

 売買をする時はいくらくらいの金額で売買するか、その時々で決めるもので
す。例えば、買い方ならば、まず、少しづつ仕掛け、その米が少しでも利益に
なってきたら徐々に買って行って最初考えていた金額を増やしてしまうから間
違えとなるのです。相場が上がるときは最初考えていた金額をしっかりと取る
ことに専念することを第一としなければなりません。売り方の場合も同じです。

 ここでは相場の上げさげを論じているのではなく「建玉法」、つまり、どの
水準でどうやって買えばいいのか(というほど細かくは述べていませんが)と
いうことを論じているのです。相場の方向性が思惑通りにいっても実際の売買
ではうまく儲けられなかったり、へたをすると損をしたりすることもあります。
この項で述べているように相場が上がるに連れて「ほら、思惑通りに上がった」
とばかりに調子に乗って買い乗せをするのは良くない、特に最初に安いところ
で少しだけ買って、高くなったら大量に買うとうのは間違いのもととなるので
す。ギャンという米国の投資家(「ギャン理論」というものを打ちたて、相場
で名を残した人)も「ピラミッティング」という方法で上がるに連れて少量を
買い乗せる方法を提唱しています。往々にして上がるに連れて買う金額を増や
してしまうものですが、決してそういうことはしないように心掛けたいもので
す。


唯々、平日此の米上がるか下がるかを考え、仕掛け申すべきこと肝要なり。

 常日ごろから「この相場は上がるのか下がるのか」と考えて、そして仕掛け
ることがとても大切なことです。

 常日頃から漫然と相場を眺めているのではなく、「上がるのかな、それとも
そろそろ下がるんだろうか」とか「もうしばらくは○○円くらいまでは上がっ
ていくのではないだろうか」などと相場の方向を(大まかにでも)考えておか
ないといざ、投資をしようと相場をみても方向感がわからず、闇雲に投資をす
るだけではなかなかうまくもうからないものです。目先的な動きや今日一日の
動きはわからなくても少なくとも世の中の大きな流れや相場の方向性だけはし
っかりと見ておきたいものです。


 江戸時代の米相場の話として伝えられている相場への心構えも、今の市場か
らするとわかり難いこともあります。ただ、また、これも相場は相場であり、
参考にすべきことは多いものと思います。




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